仕事紹介

 安全性と生産性を求め、設備を計画・導入する

大桑 甲/1995年入社 東日本事業所 設備技術部 技術室 課長
設備導入に携わる上で、どのようなことを心掛けていますか。

 人の命を預かっているという意識を持ちながら仕事に取り組んでいます。製鉄所内で取り扱う品物や設備は、数トンから数百トンという重量になります。万が一導入した設備に不備が生じれば大事故につながる恐れがあります。新規設備の導入ではより一層の注意を払い、設備仕様を検討しています。安全性を第一に検討するのはもちろんですが、生産性の向上も忘れてはいけません。そのためには、一度に扱える量の拡大、作業スピードの向上、作業工数の削減という3点が重要となります。

具体的にはどのようなことをされていますか。

 スラブ(鉄鋼半製品)のハンドリング改善を例に取ります。それまでは作業者がワイヤーロープを扱って吊り上げ作業をしていましたが、この現場にリフティングマグネットという磁力を利用して吸着する設備を導入しました。通常の電磁石を利用するタイプのマグネットは常時電源が供給されていなければ磁力を保持できませんが、特殊な磁石を使用し停電時にも磁力を保持できる装置を採用することでこの問題に対する安全性にも配慮しています。
 この設備により作業者が直接荷物に触れることなく安全に作業ができ、より少ない人数でも作業も可能になりました。安全性だけではなく生産性の向上も実現した事例です。

設備導入に携わる魅力はどこにありますか。

 この仕事の魅力は、設備の発注者として世界に2つとないものを作ることができることです。
 現状よりも安全性と生産性を向上させることが、新規設備を導入する目的です。そのためには、まず対象となる設備の現場での課題をしっかりと把握しなければなりません。どのような形状のものをどのくらいの量扱っているのか、安全性は担保されているのか、より効率的な作業方法はないのか。現状をさまざまな角度から見つめ直し、課題を明確にします。現状を変えようとする場合、自分が今まで扱ったことのない設備が必要となる場合があります。積み重ねてきた知識や経験から、設備をどういう仕様にするかを自分自身で判断しなければならず、決断には大きな責任が伴います。しかし、自分自身の判断で仕様が決められるということは、自分にしか生み出せない設備を計画・導入できるということ。これがこの仕事の醍醐味です。

CAREER PASS キャリアパス
1995年〜東京物流センター
お客様が必要なタイミングに、製品を確実に納入するための調整を担当。
1996年〜本社/技術センター
全社の設備投資、修繕などの費用を管理。新規設備の導入計画にも携わる。
1998年〜関西/メディア事業部(現在は廃部)
当時新規事業として立ち上げたゲームソフトの卸売り事業。家電量販店やゲームショップへのゲームソフトの販売を担当。
2000年〜本社/技術部
営業と協力してお客様のさまざまなニーズに応える事のできる倉庫の企画・開発を担当。鉄以外のゴム製品や冷蔵品などの倉庫の新築・改築を行う。
2004年〜京浜/物流技術室
新規設備の計画立案から、導入に至るまでを担当。
2007年〜千葉/物流技術室
2012年〜現職
NEXT PHASE これからの目標

後進の育成に力を入れていきたいと考えています。技術室はものづくりを担う部署であるため、機械の構造、電気系統の仕組みなど幅広い知識を身に付けなければなりません。そのためには日常業務で得られる経験だけでは不十分です。自分の手で何かものを作り、構造を把握することや、その動作の仕組みが設備に生かせないかと考え続けることが大切です。ものづくりを担当する者として必要な考え方や習慣などを伝えていきたいと考えています。

PROFILE プロフィール

休日は趣味の工作に没頭することが多く、たとえば加速度センサーやストップウォッチなどの電子機器を製作している。電子機器の構造の把握や実際に作る際に必要となる知識や技術は、一見すると仕事とは無関係に思えるが、時には役に立つことも。