【技術戦略】先端技術を用いて新しい時代の物流を構築する

取締役
設備計画室、IT化推進部担当
加藤 智之

<背景>

 今、物流は大きな転換期を迎えています。

 インターネット通販の拡大などで、荷物が急増する一方、少子高齢化の進展により生産年齢人口が減少するため、トラック運転手や船員などの不足が深刻な問題となり、”物流危機”と呼ばれる時代になりました。
これらの問題を解決すべく新技術の活用により車輛や船舶の自動走行が可能になりつつありますし、物流倉庫などでは、ロボット機械が導入され一層の省人化、現場作業の負荷軽減が進んでいます。さらに新技術(IoT、ビックデータ、AIなど)の活用による飛躍的な物流効率化・最適化を図ることが喫緊の課題となっています。

<現状と今後の戦略>

 JFE物流では、上記の状況を踏まえ、以下の取り組みを行っています。

Point
1
薄板倉庫用自動クレーンの開発
クレーンの自動化は、90年代からおこなわれていましたが、従来の技術では、自動化・無人化であるものの、その搬送スピードは熟練オペレータにおよばす、荷役時間は人に負けていました。今回、当社が開発したのは、最新の技術システムを用い、熟練オペレータよりも短い時間で荷役できる自動クレーンを開発しました。
ここには、コイルを認識する3Dセンサーや加減速に伴う吊荷の振れを防ぐ高度な制御理論、搬送距離を短くする最短経路探索などの新技術が満載されています。さらには、無人クレーンとなるため、将来の設備の異常を防ぐべく、IoTを適用した設備診断を適用しています。
2
操業実績、車輛、船舶のリアルタイム実績管理
運搬・荷役作業の実績をリアルタイムに把握し、作業効率向上、輸送品質向上に活用できるシステム開発を行っています。GPSによる車両・船舶の位置情報取得を行い、各種センサーやタブレットによる実績把握により、荷役・輸送能率の向上などを図っています。また、当社タイでの物流現地パートナー企業であるKerry Logistics社とデータ連携を行い海外を含めた物流の見える化を行っています。

 今後は、さらなる自動化、効率化を追求するために、次世代の物流技術である車両の自動運転、RFIDなどのICタグを利用した現品識別の自動化、各種計画作業のなどへの高度IT技術の適用などの取組を開始しています。

<学生の皆さんへのメッセージ>

 今、”物流”は、先端技術により大きく変わろうとしています。この時代を生き残るためにJFE物流では、将来を見据え、失敗を恐れず挑戦する若い人を求めています。新しい技術を適用するには、さまざまな困難が立ちはだかります。高い目標に意欲的に立ち向かい、粘り強く取り組むことで乗り越え、新しい時代の物流を構築していきましょう。