仕事紹介

海上輸送事業の収益改善に貢献する

植木美貴/2009年入社 営業本部 外航海運部 鋼材室
外航海運部でどのような業務を担当しているのですか?

 鋼材輸出船の復荷集荷業務を担当しています。日本から海外へ鋼材を運んだ後、直行、もしくは他国を経由して日本へ戻る際、船倉が空では燃料費や傭船料をはじめとした経費だけがかさみ、収益を大きく圧迫します。そこで、貨物の仲介を行っているブローカーや商社から情報を集め、復路の荷(復荷)を確保するのが私の仕事です。主に東南アジア(タイ、ベトナム)からの復荷を集荷しており、砂糖や石膏、タピオカ、鉄鉱石などの荷を手配しています。
 現在、鋼材関連市場は国内が縮小している反面、アジア地域の需要が高まっていることから海外への輸出が増加傾向にあり、船便も増えています。そのことは喜ばしいのですが、船は動かした分だけ経費がかかるため、復荷の確保が行き届かないと、船の稼働状況は上がっても利益が上がらないという事態になりかねません。それを防ぎ、外航海運事業における収益改善に貢献する、それが私たちの使命です。

復荷を確保する際、重要なポイントは何ですか?

 収益性、安定性、契約条件、全ての観点を考慮して、ベストな貨物を受注することです。定期傭船の船型では、1隻につき約1万トンの荷を集める必要があります。当然ながらタイ、ベトナムへ船が到着する日時は決まっているので時間的な制約があり、運賃を決めるにも交渉が必要になります。
 運賃の単価が高いから良い貨物だとは言い切れない点も業務を複雑にしています。たとえば、高単価でも積地で幾日も待たされたり、荷を降ろす港と次の鋼材を積み込む港が離れていたりすると、その分コストがかさんで利益が出ない可能性があるからです。また、一定期間の間、一定数量の貨物を特定の積地から揚地へ運ぶCOA契約(数量運送契約)や便ごとに契約を結ぶスポット契約など、契約形態による違いも。前者は、安定的な収益が見込める分、契約期間内での運賃変更ができない、つまりその期間内にマーケットが好転しても運賃に還元できないというデメリットがあります。後者は、市況に応じた運賃で受注することができる反面、必ず荷が確保できるという保証はありません。
 このようないくつもの要素を踏まえ、難解なパズルを解くように最も収益性の良い貨物を確保するのが最大の難しさであると同時に、腕の見せどころだと言えるでしょう。

復荷の集荷業務に必要な能力や資質があれば教えてください。

 市況をよく把握し、その時々にベストの選択ができる判断力と正確な情報をいち早く、かつ数多く集められる情報収集力です。
 タイやベトナムなど、鋼材需要が高まっている地では、復荷を探している競合他社がいくつも存在します。そのため、ブローカーや商社と良好な関係を構築し、人脈を広げることも大切だと思います。
 また、契約を扱うため慎重さや交渉力も求められます。ただ、基本的なスキルは業務を通して吸収できるので、学ぼうとする意欲や人の意見に耳を傾けられる協調性があれば大丈夫です。

CAREER PASS キャリアパス
2009年〜事業運営本部 配船運航室
日本-中国・東南アジア間で運行する定期用船3隻+スポット船1〜3隻の運航管理。運航コスト低減に努めると共に、船長の安全航行のサポートなど。
2012年〜現職
NEXT PHASE これからの目標

外航海運事業の知見を深め、
いずれは……

前部署で外航船の運航管理業務を経験した後、復荷の集荷業務に携われたことで、外航海運事業における集荷から運航という流れをつかむことができました。集荷業務は奥が深く、現部署で学ぶことは山積みですが、今後は、他航路や他の貨物の経験を積み、外航海運事業における知識を深めていきたいと考えています。将来的には、その知見を活かして、外航船を活用した外販事業という方向性を模索できたらと思っています。

PROFILE プロフィール

仕事で頻繁に使用する英語。そのスキルを高めるため、JFEグループが運営している英語教室に週2回通っている。休暇には、趣味のスキューバダイビングで気分をリフレッシュ。最近は、伊豆や下田で潜ることが多い。