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プロジェクトストーリー

チーム全員で難工事を乗り越えていく 大型集塵機建設プロジェクト

製鉄工程において発生する原料の粉塵。これらを回収する集塵機は、環境保全や工場の安定操業に不可欠な機械だ。設備の高さは約28mにもなる。JFEスチール東日本製鉄所では、機械の老朽化によって集塵効率が低下しており、改善が求められていた。コストを抑えつつ安全に新設したいものの、限られた敷地の中で行う大型集塵機の建設は容易ではない。JFE物流の機工部門の社員たちは、この課題にどう立ち向かったのか。

HIROYA HASOBE
羽曾部 紘也
現場所長
東日本機工部 東日本工事室
2016年入社(新卒)
MASAKI HAYANO
早野 優輝
現場副所長
東日本機工部 東日本工事室
2010年入社(新卒)
AKIRA OHKI
大木 啓
東日本工事室 室長
東日本機工部 東日本工事室
2009年入社(キャリア)

背景

20代で所長に大抜擢

JFEスチール東日本製鉄所の一室で、入社8年目の羽曾部は頭を抱えていた。作業スケジュールの見直しや工法の変更など、大型プロジェクトでは予期せぬ問題が頻繁に発生する。20代にして現場所長に任命された羽曾部だったが、現場の責任者として大規模工事を統括した経験はない。「どう対処すれば良いのか……」。山積する課題を前に、なかなか解決策を見出せなかった。

工事の受注前、発注者であるJFEスチールが懸念していたのは、集塵機の設置に多くの費用と労力がかかること。それでも早期に集塵機を新設しなければ、製鉄作業に支障をきたす恐れがある。いかにコストを抑え、急ピッチで工事を進められるか。競争入札で重要視されたポイントだった。そこでJFE物流は、製鉄所構内での豊富な施工経験を活かし、他社を上回る提案を行った。

「機工部門の営業担当が、コストを抑えたうえで工期短縮が可能な施工を提案し、工事を受注しました。規模が大きく、当社としても多くの知見を得ることができるプロジェクト。より良い施工を行うために、工事を担当する私たちも人員配置を熟考しました」

着工から竣工までは9ヶ月。決して余裕のあるスケジュールではない。誰が工事を率いるのか。そこで白羽の矢が立ったのが羽曾部だった。以前バイオマス発電所設備建設の大型プロジェクトに携わった経験があり、若手ながら信頼の厚い社員だった。

「羽曾部はまだまだ成長途中ですが、実直で真面目な性格なので社内外から信頼されています。彼にはこのプロジェクトを機に大きく飛躍してほしいという思いがありました。また現場経験豊富な早野に副所長としてフォローしてもらい、チーム全体で成長してもらいたいなと考えていました」

「最初にこの話をもらったときは驚きました。大きなプロジェクトに携わったことはありますが、所長として工事をリードするのは初めてですし、難しい工事だということも聞いていたので、不安もありました。ただ、会社として必ず成功させなければいけない案件。『やるしかない』という気持ちになりました」

20代にして所長に抜擢された羽曾部。不安を抱えながらも、会社の看板を背負うことの意味を十分に理解していた。JFE物流の機工部門を中心に、施工会社総勢100名以上が関わる大規模プロジェクト。2023年2月、工事がスタートした。

工事中の集塵機躯体

課題

自分がやらなければならない

本工事において最も求められたのは、施工中の安全管理だった。集塵機の高さは約28mで、部材の運搬には大型クレーンを使用。高所での火気作業もあった。また製鉄所構内は一酸化炭素が発生している場所もあり、作業者は細心の注意を払わなければならない。

「どんな工事においても安全管理は最優先事項ですが、製鉄所構内で作業を行う際は特に注意が必要です。工場は常に稼働しているので、生産を止めることはできません。事故を絶対に起こさぬよう、朝礼での注意喚起や現場の巡回を通して作業者とのコミュニケーションを徹底しました」

一方所長である羽曾部は、施工計画から安全、品質、工程、原価管理まで工事の全てを把握する役割を担っていた。つまり、プロジェクトの司令塔だ。稼働中の工場内での工事は、途中で施工計画を変更する場面も多く、その都度客先との協議や関係各所の調整、品質確認、連絡対応などを行っていた。

「施工現場でのやり取りは早野さんにお願いし、私は顧客や関係他社との調整を行っていました。工事の規模が大きくなれば、それだけ同時に処理しなければならない作業も増えていきます。わかってはいましたが、想像以上に大変なものでした」

トラブルが起きたとき、責任者である羽曾部が直接対応すると、その他に処理すべき案件は一旦ストップしてしまう。任せることができる仕事はメンバーに渡し、プロジェクト全体を俯瞰するのが責任者としての役割。自分が対処すべきなのか、仲間に預けるべきなのか。所長経験が浅い羽曾部には、その塩梅が難しかった。

「これまでは、大木さんや早野さんの部下として現場を担当するケースが多く、どのように仕事を分配し、どのように指示を出すのかで非常に悩みました。また私の性格的にも、誰かに仕事を任せるより自分で抱え込んでしまうタイプなので、『リーダー役は向いていないんじゃないか』と感じることもありました」

工事現場に小さなトラブルは日常茶飯事。しかし、その小さな問題も放置しておくとどんどん肥大化してしまう。工事の進捗とともに状況は悪化していき、彼の中で限界を迎えようとしていた。

工事中の集塵機躯体

進歩

仲間がいるから乗り越えられる

羽曾部が度重なる課題に頭を抱えていたある日、上司の大木からある言葉をかけられた。
「抱えている問題があるなら、相談していいんだぞ。そのために仲間がいるんだから——。」

「肩の荷が降りたような気がしました。それまでは所長として自分が全て解決しなければいけないと固執していました。しかし、JFE物流には経験豊富な仲間がたくさんいるので、みんなの知見を頼ればいいと思えたんです。それこそがプロジェクト成功への鍵だと感じ、頭を切り替えることができました」

「小さなトラブルは重なっていましたが、羽曾部自身が大きな失敗をしたわけではなく、課題に対して真摯に向き合っていることはわかっていました。私も過去に所長を経験してその苦労は理解しているので、可能な限り助けてあげたい。彼の仕事ぶりを見ている人たちは、みんなそう感じたと思います」

問題はいつまでに、どの程度解決すれば良いのか。そしてそれを誰に任せるべきなのか。タスクを渡す相手の立場に立ち、全ての物事に優先順位をつけ仕事を差配していく。舵取り役の難しさを、羽曾部は身をもって感じた。

周囲を頼れれば、難しい場面も乗り越えられるようになる。クレーンを使って大型製品を搬入する際に、製品の配置先が確保できないというトラブルが起きた。数百枚にも及ぶ設計図面を扱う中で、確認漏れが起きてしまったのだ。しかし、羽曾部には頼れる仲間たちがいる。メンバーで協力しあってクレーンを再手配し、別の配置先を確保。工程を遅らせることなく乗り切った。

「羽曾部は所長として大変な立場だったと思いますが、工事は決して一人でできるものではありません。所長をサポートするのが私たちの役割でもあるので、一致団結して取り組むことができたと思います」

2023年11月、工事は無事に完了。集塵機は稼働を始めた。

完成後の建屋

未来

メンバーの力を引き出す責任者へ

操業している集塵機を見て、羽曾部は安堵の表情を浮かべていた。また彼のもとに嬉しい知らせがあった。

「無事故無災害で納期通りに工事を終えたこともあり、先方の担当の方からは感謝のお言葉をいただきました。トラブルなく稼働し、集塵効率も大幅に上昇したようで、お客様の課題解決に貢献できたと実感しています」

「20代の若手社員がしっかりと工事をまとめ上げたということで、先方から非常に高い評価をいただいています。間違いなくJFE物流に対する信頼が高まる案件だったと思います。難しいプロジェクトではありましたが、羽曾部に所長を任せて良かったです。期待以上の働きを見せてくれました」

JFE物流のみならず、JFEグループ全体の利益にも貢献した今回のプロジェクト。羽曾部にとってはかけがえのない経験として残っている。

「これまでは工事の最前線で実務をこなす『現場の担当』でしたが、今回は一歩引いた位置からプロジェクトを推進していく『責任者』という役割でした。工事を安全に、スケジュール通りに進めていくためには、人とモノとお金をうまく動かさなくてはなりません。工事の司令塔として、所長が何をすべきなのかを実感することができました。今後は大きな現場でも小さな現場でも、メンバーの力を引き出すことができる責任者になりたいと思っています」

JFE物流の未来をつくるべく、機工部門のプロジェクトは今日も動いている。